我が家の二人の高校球児

私の息子は高校2年生、隣に住んでいる私の友人の息子は高校3年生。

二人は幼いころから毎日我が家で兄弟のように過ごしている。

小学生から野球を始め、学校から帰るとキャッチボールと素振りが日課。

キャッチボールすらできなかった私の息子に、彼は野球の楽しさを教えてくれた。

 

そして二人の夢は、一緒に甲子園に行くこと。

中学時代は同じクラブチームに所属、高校も同じ学校に進学した。

練習試合では、緊張してマウンドに上がる私の息子を、彼がいつもショートから励ましてくれる。

中学時代の私も、彼の父に励まされていたから見ていて不思議な感じがする。

 

 

新型コロナウイルスの影響で2月末から学校は休業、野球部も活動自粛。

春の県大会、関東大会に向け自宅でトレーニングの日々。

春の選抜甲子園が中止、東京五輪が延期となった。

春の県大会、関東大会も中止。残すは夏の大会のみとなった。

 

4月になっても5月になっても学校は始まらない。

息子たちは夏の大会の開催が難しい状況だと感じ始める。

そして夏の甲子園大会中止が発表された。

 

テレビのニュースで、高校球児を励まそうと様々な取り組みが紹介された。

でも、彼はテレビから目を背けてしまう。

私は友人と、息子たちに何て声を掛ければいいのか考えた。

勝ってもいない、負けてもいないのに憧れ続けた高校野球が終わってしまう。

自分が息子たちの立場だったら何て声を掛けてほしい?

結論は、黙って見守ることにした。

 

6月に入り二人の様子に変化があった。

彼が私の息子にアドバイスをしている。

打者心理に基づいた配球など。

三十数年前の高校球児には何を言っているのかさっぱりわからない。

彼は私の息子に叶わなかった自分たちの夢を託そうとしている。

自分自身で現実を受け止め、次のステージへ進もうとしている。

新型コロナウイルスによって、高校生活最後の夏の大会は奪われてしまった。

大会中止は残念だが、この経験が彼らを成長させてくれたとも思う。

彼は大学でも野球を続けるそうだ。

 

私と友人にもまだ夢がある。

孫同士が一緒に野球をしている姿を見てみたい。

新型コロナウイルスの終息を願っている。

 

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